平成12年度学習プログラム開発事業「夏休みこども体験講座」実施要項

 

1 目 的 屋内での遊びが多い子供たちに,ナックルフォアをとおして自然の素晴らしさと,互いに協力し助け合う心を育てるため,小学校上学年を対象に体験型の学習プログラムを実践し,事例集を作成する。

2 主 催   茨城県教育委員会

3 主 管   レイクエコー  茨城県鹿行生涯学習センター

         〒311-3824  行方郡麻生町宇崎1389 

                TEL 0299−73−3877

4 期 日   平成12年8月22日(火)(6時間)

5 会 場   常陸利根川

潮来漕艇場(潮来6322)

TEL 0299−66−1574

5 参加対象及び人数   鹿行管内の小学校4年〜6年  40人

6 講師及び協力者    茨城大学教育学部助教授  加藤 敏弘

潮来町ボート部部長    塙  信一

(協力者) 潮来町ボート部部員

7 日程及び内容

  9:00〜 9:30 受付 

  9:30〜10:00 開講式 オリエンテーション

 10:00〜12:00 仲間づくりゲーム(グループを決める)

グループ毎にシンボルの作成

 12:00〜13:00 昼食・休憩

 13:00〜15:30 ボート体験

閉講式

8 参加費   無 料(参加者の保険は,予算内で負担する。) 

9 申込方法 ハガキ,FAXで以下の事項を記入し申し込む

         @郵便番号・住所・電話番号

         A本人氏名(ふりがな),性別

 B学校名,学年

 C保護者氏名

[送付先]〒311-3824 麻生町宇崎1389

鹿行生涯学習センター 生涯学習課宛

゚ 参加者の決定  申込者が多数の場合には抽選をする。なお,受講者には平成12年8月9日           (水)までに連絡する。 

ユ その他   昼食は参加者が持参する。着替え等の用意。


U 実践事例(案)

 1 「生きる力」を育む自然体験プログラム

〜ナックルフォアを通して〜 

                         茨城県鹿行生涯学習センター

  (1) ねらい

 社会や生活環境の変化に伴い,子どもたちの遊びは急激に変化し,自然とのふれあいや新しい仲間作りを体験することが少なくなってきている。こうした現状をふまえ,ふだん学校では実施できないナックルフォアをとおして,子どもたち一人ひとりが互いに一つの目標に向かって協力し合うことで,主体的に生きる力を育む機会とする。

  (2) 仮説

ア 学校では体験できないナックルフォアに挑戦することにより,一人ひとりが互いに協力し合うことの大切さを知ることができるであろう。

イ ナックルフォア等の活動をとおして目標にチャレンジすることや,新しいことに取り組む意欲を喚起させることができるであろう。

ウ 大自然の中で活動をすることにより,自然との一体感を味わうことができるとともに,自分を見つめ直す機会となるであろう。

  (3) 実践

    ア 計画

(1)事業名

夏休みこども体験講座

(2)事業の目的

子どもの遊びが昔と比べて大きく変化し,自然体験や社会体験などが少なくなってきている現状を考え協同作業体験をとおして,子どもの主体的に生きる力を育む。

(3)実施主体

茨城県鹿行生涯学習センター

(4)参加対象・定員

小学校4〜6年生 40名

(5)学習期間

学習時間(回数)

8月

学習時間   6時間(1回)

(6)学習場所

常陸利根川

潮来町漕艇場

茨城県立潮来高等学校艇庫

(7)学習目標

4人で1つのボートを「息を合わせて,力の加減をとりながらバランスよく漕ぐ」という活動をとおして,お互いの健康状態や体力を気遣いながら,たくましく生きるための自主性,協調性の大切さを知る。

(8)プログラムの展開

  学習テーマ 

  学習の内容と方法 

学習支援者

備 考

みんなで協力してボートを漕ごう

○開講式

・主催者あいさつ

・講師,職員紹介

○オリエンテーション

・活動内容を知る

・仲間づくりゲーム

(アイスブレイク)

○ボートの漕ぎ方を理解し,体験する。

・ボートの乗り降り

・正しいフォームを身につける。・オールの使い方

・救命胴衣の付け方

・模擬訓練(エルゴメーター)を行う。

○チーム毎にボートを漕ぐ。

○レースを行う。

○閉講式

・講評

・参加者の感想

職員

 

 

講師

 

 

 

講師

協力者

 

 

 

 

講師

協力者

 

講師

協力者

職員

 

    イ 展開

第1回

学習テーマ  みんなで協力してボートを漕ごう!

アクティビティのねらい

ボートを漕ぐことを通して,お互いの健康状態や体力に気遣いながらや協力することの大切さに気づく。

準備するもの

名簿(受付用),名札,テント,イス, 机,ナックルフォア艇,オール,救命胴衣,カメラ,ゴミ袋,鉄板,ガスボンベ,ブロック,筆記用具,アンケート用紙

会場図

 別紙

 

 

流   れ

時 間

学  習  活  動

 

導   入

 30分

開講式

・講師紹介

オリエンテーション

・活動内容,目標を知る。

・仲間づくりゲームをする。(アイスブレイク)

ゲームをしながら4人のグループを作る。

 

展   開

120分

 

 

 

 

 

 

 

 60分

 

120分

ボートについての説明を聞く。

・ボートの乗り降り

・救命胴衣の身に付け方

・オールの使い方

チーム毎に目標を話し合い,学習カードに記入。

正しいフォームを身につけるための練習を行う。

・エルゴメーターを使い,足の蹴り方,腕の使い方や上体の姿勢を確認

昼食・休憩

・バーベキューを艇庫前広場で行う。

実際にボートを漕ぐ。

・チーム毎に「速く」「力強く」「リズムよく」を心がけて,練習する。

レースを行う。

・みんなで力を合わせて全力で漕ぐことを心がけさせる。

 

ふりかえり

 20分

学習カードに記入

閉講式

・講評

・チーム毎に感想を発表する。

 

    ウ 評価表

(1)事業評価の視点

子どもたちが意欲的,主体的に協力して活動できたか?

(2)評価方法

目標に基づく評価

(3)評価のデータを収集する  対象者/技法

参加者(観察表,アンケート)

(4)評価時期

活動の展開中と終了後

(5)評価の対象領域

(6)評価項目・基準

(7)留意点・備考

・学習者の特性や学習活動自体の特性に関すること

 

 

 

・学習者の特性や学習活動自体の特性に関すること

 

 

 

・学習成果に関すること

 

 

 

・学習活動や支援に関する条件整備に関すること

 

・学習活動や支援

に関する条件整備

に関すること

・グループ分けの方法は適切で あったか。

(アイスブレイクとして行ったゲームは,効果的であったか。)

 

・参加意欲がわく内容・方法であったか。

(参加率はどうだったか。)

(参加者が満足できる内容であったか。)

 

・協力しあって,主体的に活動する意識づけにつながったか。

(バーベキューやボートを漕ぐことなどから。)

 

・時間配分は適切であったか。

(プログラムに無理はなかったか。)

 

・参加者に対する支援は適切であったか。

(講師,協力者の支援体制は十分だったか。)

活動の展開中

 

 

 

 

 

活動の展開中および

終了後

 

 

 

 

活動の展開中および

終了後

 

 

 

活動の展開中

 

 

 

活動の展開中および

終了後

 

    エ 評価

  (ア) アイスブレイクとして行ったゲームは,効果的であったか。

・講師(モデル講座)の指導のもと,次のようなグループワークが行われ,チームワークを育むための雰囲気づくりが進められた。

○ウォーミング・アップ:2人組で柔軟体操(新しい友だちとの活動)

○「人」文字ゲーム(互いに支え合う)

○「鳥のかご」と「籠のとり」(いろんな人と手をつなぐ雰囲気作り)

○ビッグ・ウェーブ(全員によるスクワット)

・こうした活動をとおして子どもたち一人ひとりの性格をとらえ,性別,学年,体格等を考慮してチームづくりが行われた。アイスブレイクが終了し,新しい仲間ができた時には,参加者の不安な表情もとれ,雰囲気が良くなった。

  (イ) 参加意欲がわく内容,方法であったか。

・今回は,学校を離れ(脱学校)夏休み中における体験活動として,ある程度緊張感を伴うナックルフォアと参加者がリラックスできるバーベキューを組み合わせた。

・参加者の人数(30人)は,予定数より少なかったが,緊張場面とリラックス場面を組み合わせた今回の内容は,子どもたちの興味・関心を十分換気することができた。

・また,実施方法として,内容毎に講師の役割分担をしたことで,多くの目で子どもたちを見ることができた。

     (ウ) 協力し合って主体的に活動する意識づけができたか。

・活動に入る前や活動後に学習カード(別紙)を使って,グループ名やリーダー,目標,活動の内容,感想などを記入させ,新しい環境の中で友だちと協力し助け合える場を作りだすことができた。

・エルゴメーターや実際のナックルフォアをすることで,新しい体験を通して上達しつつあることを実感しながら,徐々にチームワークが形成されていき,新たな目標に向かっての課題を見つけることができた。

     (エ) 時間配分は,適切であったか。

・午前中3時間,午後4時間の計7時間実施した。予定より1時間オーバーしたが,炎天下の中,活動の合間に休憩と水分を十分補給させながら行われた。

・ナックルフォアは,全くの初心者に対して短時間の活動であっても効果的であった。このことから,シリーズとして何回かに分けて行うことも十分実施可能であることがわかった。

     (オ) 参加者に対する支援は適切であったか。

・参加者30人に対し,講師スタッフ11人,協力者(含高校生)16人,事務局8人の人達が関わりを持つことができた。

・多くのスタッフにもかかわらず,それぞれの役割分担を明確にし,お互いの連繋が積極的に図られたため,適切な支援につながった。

 (参加者のアンケートより)30人

     (ア) この講座に申し込んだ理由は,次のどれですか。

  1 自分から進んで申し込んだ。(7人)

  ○ボートに乗りたかったから

  ○自分でやりたかったから

  ○楽しそうだから

  2 親にすすめられて申し込んだ。(11人)

  3 友だちに誘われて申し込んだ。(6人)

  4 そのほかの理由で申し込んだ。(6人)

 

     (イ) 参加してどうでしたか。(感想を書いて下さい。)

  ○楽しかった

  ○疲れたけど体験できて良かった。

 ○新しい友だちができて良かった

  ○ナックルフォアに乗れて良かった。

  ○おもしろかった。またやりたい。

  ○本物のボートに乗ってむずかしかった。

  ○思っていたより楽しかった。

  ○楽しい思い出がたくさん作れて良かった。

 

     (ウ) 次もやるとしたら参加しますか。

  1参加する。 (14人)

  2参加しない。

  3わからない。 (16人)

 以上,実施後のアンケートや学習カードの内容などから,自主的に申し 込んだ人は,少なかったが活動後の感想を見ると,全員が楽しかったと答えるなど子どもたちにとって自然との一体感を味わいながら自分を見つめ直す良い機会となったことが伺える。

  (4) 留意点

   ・川が活動の中心になるので,安全面に関する配慮をした。

      指導者の人数の確保

       突発的な事故に対する措置(モーターボートの配備)

      バーベキューの際の火の始末

   ・屋外での活動なので,暑さ対策にテントを設置した。また,水分の補給を十

    分に心がけさせた。

   ・内容毎に,指導者を分担し,子どもたち一人ひとりに関わる人間を多くした。

 

  (5) まとめと課題

 午前中は天候不順が懸念されたが,幸い午後から晴天に恵まれ,理想的な体験学習を展開することができた。子どもたちは,開会式ではこれからどんなことが起こるのか不安な表情を覗かせていたが,全く新しい友達と手をつなぎ息を合わせることで,体と心がほぐれていった。それでも「船が沈んだらどうしよう?」という大自然の持つ驚異を感じながら,ナックルフォアについての正しい知識を得,安全な操作方法を学ぶことによって,少しずつ不安が解消されていった。

 バーベキューでは,お互いの学校の様子を話しながら,少しずつ新しい仲間とうち解け合い,支援者との交流を深めることができた。

 いよいよ本格的に川へ乗り出すと,子どもたちは水しぶきを浴びながら,新しい仲間と息を合わせ,お互いを気遣いながら協力して力一杯オールを漕いだ。時折,きらきらと輝く水面から魚がすぐ近くを跳びはね,子どもたちは自然の恵みに歓喜した。艇の上で休憩しながら橋や堤防を見渡す風景は,堤防から川を見下ろす日常の景色とは異なり,自然環境を身近なものとして実感した。艇の舵を持つ高校生のお兄さんやお姉さんの楽しいお話しは,こうした自然環境とともに,子どもたちの心を徐々に開かせていった。レースでは,堤防からの友達や大人たちの声援をバックに,持てる力を使い果たし,疲労困憊した。汗まみれになりながら,上達した自分たちの成果に誇りを持つことができた。

 

 今回は募集人員を40名とし,30名の参加者があった。多くの支援者によって安全に活動を展開することができたが,急激な気象条件の変化に適切に対応するためには,施設・設備等を考慮すると,もう少し少人数でもよかったかも知れない。

 安全に講座が実施でき,子どもたちが十分満足できたのも,多くの指導者や協力者の存在が大きい。毎回,これだけ多くのスタッフをそろえることは困難であろうが,地域社会に根ざした活動を展開するためには,日頃からこうした多くの協力者と連携を図っておくことが大切である。

 午後になって予想以上の炎天下の活動となった。水分補給には十分気をつけたが,体の小さな子どもには,かなりの疲労感があったようである。もう少し穏やかな時期に実施した方がよかったかも知れない。

 多くの子どもたちが「参加して大変よかった。」と感想を述べているが,その喜びの内容は,驚くほどの深みを帯びていた。次の感想文に記されているように今回の体験は子どもたちの心に深く刻まれ,事業の目的を十分に達成することができた。

 

参加者の感想

  「ナックルフォアを経験して」

   潮来町立津知小学校6年  M.S

 ナックルフォア。初めてこの言葉を聞いた時,一体何だか私には分からなかった。友だちに誘われて興味をもって申し込んだんだけれど,どういう形なのかどういうこぎ方なのか何て全く知らなかったし,正直いってとても不安でたまらなかった。でも,全く知らない学校の友達とナックルフォアの練習をしていくごとに,仲良くなれたり,上達していく自分におどろいたり,バーベキューでは,みんな打ちとけあえて協力し合えて良かった。

 午後からは,レースを行うということで,みんなはりきっていた。でも,私はさっき食べすぎてふくれて重くなったお腹の重さで,しずむことが少ないというナックルフォアでもしずむんじゃないかとそっちの方が心配だった。ナックルフォアの方は,教えてくれた高校生とみんなのチームワークと心をひとつにしたおかげで速くこげるようになっていた。私はとても楽しくて楽しくてしょうがなかった。私たちのグループ名「サンシャインフィンガー」の通り太陽がまぶしくなってきたけれど,みんな一生けん命がんばっていた。レースでは見事1位になれた。汗だくだったけどみんなの顔は,とても輝いているようにみえた。

 今日のナックルフォアでは,小学校では経験できないことができて良かった。このナックルフォアを経験して知らない友だちと仲良くなれた以外にもっと大切なものを得たような気がした。今日,心のアルバムに1枚新しく最高の思い出として胸にきざみこまれた。